死なないためのノウハウ

   

こんにちは。ブックカフェスタッフの藤本です。
今月の読書感想文は「死なないためのノウハウ」という新書本を選びました。

「働けなくなったら、、、」「お金がなくなったら、、、」「親の介護が必要になったら、、、」「大病を患ったら、、、」

独り身としてはどうしても気になる年頃ですのでこの本を手に取ってみた次第です。もう一つの理由としては雨宮処凛さん著書であることです。私の世代以上の人にはとても有名な方だと思うのですが、勢いで北朝鮮に行ったりどこか中東あたりの国で音楽のライブパフォーマンスをしたりと色々な意味で振り切った経験をお持ち。これまでの著書も学生の頃にたくさん読みました。

生きづらさの正体は減点方式の社会

世代によって感覚は違うと思うのですが、私の世代というのはとにかく「なにを考えているかわからない」「自己主張がない」「元気がない」「向上心がない」「夢を持っていない」「結果が出ないのは能力がないから、バカだから」などなど散々な言われようでした。特にメディアが特集を組んでのバッシングなどもあり、酷かった記憶があります。この社会というのは常に減点方式。ミスをすると「そんなこともできないのか」「普通ならこれくらいはできるだろう、それすらできないのか」「自分だってこれくらいできるよ(嘲笑)」「ちょっと変だよね」と言われる。自己肯定感の低い人というのは、もともと自分がダメな人間だと思っているから、第三者からそういったことを言われると「決定的な証拠」として、自分の心がどんどん破壊されていくんですよね。私自身も当時、生きていてもいいことなんてなにもない、必要とされてない、生きていることでむしろ迷惑がかかると本気で考えていました。こういった背景を熟知しながら発信しているのが雨宮処凛さんで、だからこそ共感を持って読めるのかなと思います。

知ってるか知らないかで変わる未来

本の中では困った時に使える法律や制度などが具体的な事例とともに書かれています。最近では「老後2000万円問題」という言葉も出てきましたが、老後にそんな大金、20代〜30代からすればふざけるな、ですよね。実は日本は多くの社会保障制度が存在するそうです。でも、そういった情報というのは殆ど私たちの目に入ってこない。制度さえ知っていればいざなにか起きたときにはなんとかなるかもしれない。でも知らなければ本当に落ちていくところまで落ちていく。であればやはり知っておくことにこしたことはありません。なにもこの本を最初から最後まで暗記しようなんて思わないでいいと思います。流し読みしながら、なんとなく頭の片隅に置いておくことが、いつか何かあったときに自分の命を救ってくれることにつながるかもしれない。情報というのはとても大事ですね。

これは余談ですが、何年か前に、雨宮処凛さんの講演の司会をしたときに、とても面白い話を伺いました。高円寺駅前の路上で集まって鍋パーティーをしたというのです。どこからともなく海外の人や通りすがりの人たちも参加するようになり大変盛り上がったそうで、お巡りさんから「路上で鍋はちょっと」と言われると「警察なんてやめて一緒に鍋やろうよ」と逆に誘ったりと、まぁ高円寺は若干時空が歪んでる街なので参考にはなりませんが、でもこうやって社会の規律や規則や意味のわからない常識から解放されてゆるっと人が集まったり交流したりすることから自分なりの生きやすさを発見できたりするのかもしれません。

本はブックカフェ内であれば読むことができます。

また、各地の書店さんで購入できますので買っておくと安心につながるかもですよ。

 - 毎月1冊読書感想