一番影響を受けた本NO4:うらさわ

      2020/07/01

今回のテーマ「一番影響を受けた本」

リレーブログ5週目!ブックカフェは本棚整理中。これから、よりテーマ性のある本棚づくりをしていきたいと思います。今回のテーマは「一番影響を受けた本」。実は、私は一番を選ぶのって、本当はあまり得意ではありません。そのときそのときで、必要なものが違うし、感じたことは比べられないなぁと思うことが多いのです。いつもは漫画の紹介の記事をかくことが多いので、今回は活字の物語で、自分の心にずっと残っている本を紹介します。

 

青木和雄著『ハッピーバースデー 命輝く瞬間』 (金の星社)

私は父が中学校の国語の先生をしています。家中にある本棚から溢れるほど大量の本があり、気になるものを勝手に読み漁っていました。小学校の頃、お父さんが持っていたこの本を読み、衝撃を受けたのを覚えています。その後も何度も何度も読み返しました。

「本当に生まなきゃよかったなあ。」そんな言葉を投げかけられ、お母さんに愛されたいのに愛されない絶望で声がでなくなってしまう主人公のあすか。田舎のおじいちゃんおばあちゃんと過ごし、大切なことを学んで息を吹き返していきます。そしていじめられている同級生、障害を持った友達との交流など、人との関わりで成長していきます。

この本を読んで、苦しい状況の中で前に進んでいく主人公の姿に希望をもらえました。そして主人公のあすかだけでなく、愛されて要領の良さそうなお兄ちゃんも、そして、厳しくあたるお母さんもそれぞれに問題を抱えていることをしっかりと描いていたことが印象的でした。作者の青木和雄さんは小学生校長を務めたのち、教育カウンセラーになっており、経験を生かしていじめや児童虐待に関する児童書を多数出しています。実際に多くの事例を見てきた人だからこそ、親子関係や子供同士の関係の描き方に、単純に片付けない深みがあります。

 

梨木香歩『西の魔女が死んだ』(新潮社)

高校生のときに課題図書で読んだ『西の魔女が死んだ』も、学校が苦しい主人公が田舎のおばあちゃんのところで魔女修行するという少し似たところのあるお話でした。
こちらについては、魔女と魔術についての批評誌「ウィッチクラフト叢書」書肆アルケス「ポリフォニック現代魔術」に寄稿した「現代の呪いに対抗する魔術」でも触れています。こちらもよかったら読んでみてください。

こんな人に読んでほしい

紹介した2冊はどちらも田舎で過ごして自分を取り戻していく話でした。自分も森や田畑に囲まれて過ごしたからかもしれません。小学生や高校生のときに読んだ本でしたが、その後自分は、性暴力の被害に遭い、PTSDがひどくて外出が難しく、家でお休みしていた時期が続きました。必要な本だと直感的にわかっていたのかもしれません。今生きている環境が苦しい人、頑張りすぎて自分を追い詰めてしまう人、人の心に向き合いたい方に、特に読んでほしいです。

次回テーマ「尊敬している人」

次回のテーマは「尊敬している人」です。緑川さんからのお題。これも個性が出そうなテーマですね。
楽しみにしています!

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